ミラーリング

 

心理カウンセラーの南ユウタです。

 

YouTubeチャンネルの登録者数が1万人を突破しました。

そろそろ次の動画を出そうと思っています。

 

さて、本題です。

 

■なぜパートナーシップがうまくいかないのか

■なぜ子育てがうまくいかないのか

 

その答えの大部分が今日お話しするテーマかと思います。

 

ズバリ、あなた自身の幼少期に体験した親子関係です。

(もちろんこれが全てとは言うつもりはありません)

 

これから僕、南ユウタが

設問 ABCDE まで順番にワークを進めていきます。

 

このアルファベットはワークの最後にまとめて使います。

 

例えば、あなたから見て

お父さんかお母さんさんの好きなところと嫌いなところを

それぞれ3つずつ書き出してみてください。

 

その時できるだけ

 

優しい

厳しい

感情豊か

論理的

頭が固い

 

そんなふうに性格を表す短い言葉を書くようにしてみてください。

 

今回は僕自身がこのワークに取り組んで見ましたので公開したいと思います。

今回、僕は自分の母親でワークしてみました。

 

(A)

①ネガティブ面

気が強すぎる

負けず嫌い

人の話を聞かない

 

(B)

②ポジティブ面

優しい

天然でピュア

感情豊か

 

(C)

そして、次の文章を完成させましょう。

「わたしが、子どもの時に欲しかったもの、必要としていたものは…だ」(C)

————————–

僕が子供の時に

欲しかったもの、必要としていたものは、

僕の感じている事や考えていることを決めつけずに、話を最後まで聞いてくれて、たとえ意見が違っても、気持ちは受け止めて理解してくれることだ。

大人だから自分の方が立場が上だからといって、話を途中で遮るのではなく、あなたはそう感じているのねと一旦受け止めて話し合って欲しかった。

————————–

 

次に、子ども時代のお父さんやお母さんとの

①ポジティブな良い思い出をふり返り、

②その時の感情も書いてみましょう。

 

今回も僕は母親で行きます。

 

①両親とのポジティブな良い思い出

お母さんが、僕が小学生の頃

僕の両手を持ち、交互に動かして

体をピタッとくっつけ「ズンタッタタッタ」と言いながら一緒にふざけて歩いてくれた。

 

②その時の感情(D)

とても楽しかったし安心感があった。

自分は守られている愛されていると感じられた。

 

 

次に、子ども時代のお父さんやお母さんに感じていた

①不満と、

②その時のあなたの反応(リアクション)

をふり返り、書き出してみましょう。

 

①両親への不満(今回も僕は母親で行きます)

中高生の頃、僕は僕なりに勉強していたのに

一切確認もすることなく最近甘えているだらけていると決めつけてきた。

こちらがそんなことない勉強したと返事しても、いや大人には全部わかるんだの一点張りで何を言っても聞き入れてもらえなかった。

 

②その時の反応(リアクション)(E)

激怒して反論した。

あちらが喋っている時もこちらがかぶせて言い返した。

(「勉強してるところを見てもいないのに決め付けられるのは不快だ」 みたいなことを必死で言っていた。)

 

書き終えたら、最後にこちらの文章を穴埋めしてみましょう。

 

上記の(A)から(E)までの単語や文章を、入れていき、文章を完成させましょう。

 

 

■あなたの「親イメージ」

・わたしは、(A)の特徴を持った人に魅力を感じる。

気が強すぎる・負けず嫌い・人の話を聞かない

 

・同時に、わたしは、(B)の特徴を持った人に魅力を感じる。

僕は「優しい・天然でピュア・感情豊か」と書いたので、

「優しくて、天然でピュアで、感情豊かな人に魅力を感じる」

 

・同時に、わたしは、時々、パートナーのことを(B「優しくて、天然でピュアで、感情豊か」という特徴を持った人だととらえている。 

・同時に、わたしは、パートナーをB「優しくて、天然でピュアで、感情豊かな人」にしようと試みている。

・同時に、わたしは、パートナーに(B「優しくて、天然でピュアで、感情豊かな人)のような人になってほしいと感じる。

 

・だから、わたしは(C)と感じる。

 

僕は(C)の部分で、こう書きました。

【僕が子供の時に欲しかったもの、必要としていたものは、僕の感じている事や考えていることを決めつけずに、話を最後まで聞いてくれて、たとえ意見が違っても、気持ちは受け止めて理解してくれることだ。

大人だから自分の方が立場が上だからといって、話を途中で遮るのではなく、あなたはそう感じているのねと一旦受け止めて話し合って欲しかった。】

 

なので、僕は恋愛の相手にも

「僕の感じている事や考えていることを決めつけずに、話を最後まで聞いてくれて、たとえ意見が違っても、気持ちは受け止めて理解してくれる」と感じる。

 

・そして、(D)と感じる。

「とても楽しかったし安心感があった。自分は守られている愛されていると感じられた」と感じる。

 

まさにその通りです!

 

そういう人に僕は魅力を感じます。(笑)

 

ただし、ここで終わらないのがこのワークの奥深いところです。

人間には二面性もあるした面性もあるわけです。

 

・わたしは、時々(E)。

「激怒して反論した。あちらが喋っている時もこちらがかぶせて言い返した。」

これもまさにその通りです。(笑)

楽しいはずのデートが地獄に変わるんですね。(苦笑)

 

 

今回は僕の例をご紹介しましたが、

僕たちは多くの場合、親との関係で

魅力と反発・愛と憎しみといった正反対に見える感情を両方とも体験していることが多いんです。

 

僕たちはそうした親との関わりから

 

親とはこういうものだ

お父さんはこういう人で

お母さんはこういう人だ

という「親イメージ」を心の中に保存していきます。

 

「親イメージ」には、ポジティブ面とネガティブ面の両方があるものです。

 

ところが、多くのアダルトチルドレンや愛着障害の方は

「親イメージ」 が不安定で、極端に良い時と極端に悪い時の二つしかない人も多くいらっしゃいます。

 

 

どんなに酷いことをされてきたとしても

それは忘れ去られ、なかったことにされ、「私の両親は愛情深く私を育ててくれた。とても感謝しています。」というアダルトチルドレン・愛着障害の方も多くいらっしゃいます。

 

もちろんカウンセリングが進めば、

心の奥底に「どうして自分をありのままに愛してくれなかったのか」という怒りや憎しみを取り込んでいることにご本人が気づかれることが大半ですが…

 

このタイプの方は

親を過剰に理想化することで自分を保ってくることができたタイプです。

 

これを「理想化」と呼びます。

 

逆に、例えば

過去のある時期の僕なんかはそうですが、

「あんなお母さん別に死んでも何とも思わないです。他人なので。はい。」みたいに

「こき下ろし」をするタイプのアダルトチルドレン・愛着障害の方もいらっしゃいます。

 

このタイプの方は、 親の存在価値を「こき下ろし」することで自分を保つことができたタイプです。

 

この2タイプの方は、 心の中で親イメージが

「良い親イメージ」と「悪い親イメージ」に二極化するという特徴があります。

 

そして、親イメージがこのように極端に揺れ動くということは、実は、「自己イメージ」 も極端になり定まらないということなのです。

 

「自分がわからない」 という方のカウンセリングをしているとそれがはっきりと分かります。

 

彼ら彼女たちの多くは、親の事を語る時、 ある日はとても素晴らしい親で感謝していると語る一方で、また別の時にはいかに親が悪魔のように自分を責め立ててきたかと恨みを語ります。

 

そして、それはパートナーについての話し方にも似たような感じで出ています。

 

 

こうしたアイデンティティの問題を抱える方は

心理療法の発達理論で言えば、3~4歳頃の「アイデンティティ」のステージで躓いているかもしれません。

 

「アイデンティティ」のステージとは、

✅「これが私だ」という自己イメージ=アイデンティティを確立していく時期です

 

✅子供は「ぼくは~・わたしは~」と、「自己主張」をするようになります

 

✅「親にしっかり見てもらえている感じ」を実感できると、「自分がない」「自分がわからない」という子ども特有のもろい自己イメージが「強化」されて「これがありのままの自分だ」と実感できるようになっていきます

 

✅子どもは自分の気もちや考え方、「自分」というイメージを鏡のように映し返す「ミラーリング」を親からたっぷりとしてもらう必要があります。

 

「アイデンティティ」のステージは、

「これが私だ」という感覚を見つける、「自分になる」旅のはじまりです。

 

 

そのためには、2つの大切な発達課題をクリアする必要があります。

 

 

それは、

①「これが自分だ」という「安定的で一貫性のある自己イメージ」を獲得すること。

 

②それと対となる自分にとって大切な他者の「安定的で一貫性のある他者イメージ」を確立することです。

 

まさに今日のテーマですよね。

 

心の中に「良い親イメージ」しか保存しないということは、

その親に愛され守られ大切にされる「良い子の自分イメージ」しか

心の中に許さないということです。

 

その場合は「怒り」や「憎しみ」といった自然な感情を

「持ってはいけない感情」として抑圧していきます。

 

反対に心の中に悪い親イメージしか保存しないということは

その親に傷つけられ無視され、ぎゃくたいされる

「悪い子の自分イメージ」しか心の中に許さないということです。

 

その場合は「愛」や「感謝」屋「誇り」といった自然な感情を

「持ってはいけない感情」として抑圧していきます。

 

良い親と良い子のカップルか

悪い親と悪い子のカップルか

両方ではなく片方しか心の中に保存しない…

 

そういう風になっていくと、

生き方が「過剰に従順な良い子」か「過剰に反抗的な悪い子」に偏っていく傾向があります。

(悪い、というのはあくまでも「良い」に対比した表現です)

 

 

または、一方では親を愛し求めているけれども、

もう一方では親を信頼しきれず怒りや憎しみも感じているタイプの人は

その二つの間で揺れ動く行き方になっていきます。

 

 

そうした方はカウンセリングでも

親やパートナーのことをある時は良い人として話し、

また別の時には最低な人として話す傾向があったりします。

 

そして、そのことにご本人が全く気付いていないのです。

 

よく心理学の一般向けの本や発達心理学の方には

「子供の話をよく聞きましょう」

「子供の気持ちに共感しましょう」

「一貫性のある子育てをしましょう」

みたいなことが書いてあります。

 

あれが何故そんなにも大切なのかと言うと

親との関わりは子供の心のメカニズム(そして脳の構造)をかなり大きく左右するからです。

 

 

親イメージが極端に入れ動いたり

極端に良い親イメージしか心の中に保存できなかったり

反対に極端に悪い親イメージしか心の中に保存できなかったりすると

 

子供は自分というもののアイデンティティがわからず混乱して行くか、

良い子か悪い子かのどちらかのアイデンティティに過剰に凝り固まっていくのです。

 

こうした「アイデンティティの混乱」を抱えている人に大切なのは

「ミラーリング(感情反射)」です。

 

ミラーリングとは

子供の素直に感じている感情を、

ひとまずありのままに受け止め言葉や態度で返してあげることです。

 

例えば子供が男の子なのに赤が好きだと言ったとしましょう。

 

その時に

「男の子なんだから青が好きなんでしょ?」と迫ってしまうと、

子供の感情はますます混乱して行き、

「親に気に入られる青が好きな男の子イメージ」しか

心の中に保存しようとしなくなる危険性があります。

 

 

「あなたは赤が好きなんだね」

これがミラーリングの例です。

 

 

子供はそうやって

自分の感情を鏡のように移し替えしてくれる親の存在があるおかげで

「ありのままの自己イメージ」を心の中に保存することができるのです。

 

このミラーリングが不足してしまうと、

「自己イメージと他者イメージの混乱」がおきます。

 

「親なんか知らないよ。どうでもいいですよ、あんな人。」

と親子関係の基本が冷たい距離のあるものとして感じる自分になるか、

(親へのポジティブな感情は抑圧されています)

 

「親は神様です。本当に愛してくれてありがとう感謝しています。」

親子関係の基本が過剰に暖かい距離が近すぎるものとして感じる自分になるか、

(親へのネガティブな感情は抑圧されています)

 

もしくは

その両方を時に激しく切り替わっていてしまうスイッチの激しい自分になるか、

 

このいずれかになってしまいがちなのです。

 

こうした人はカウンセラーとの心理療法でも似たような動き方をします。

 

ある時はカウンセラーが理想化された神様のような人にうつりますが

カウンセラーが少しでも連絡を遅れて返したり、忘れたりしようものなら

ものすごく激怒したり、自分だけが他のクライエントさんよりも邪魔者扱いされていると瞬時に解釈して、一気に関係を切りにかかったりします。

 

もう少しマイルドな人だと、

カウンセリング中のカウンセラーの社会な言葉の端々に

「自分みたいなつまらない人の話を聞きたくないと思っているのではない」とか

「この人とのカウンセリングを早く終わらせようと考えてるのではないか」と

疑心暗鬼になったりもします。

 

これは昔から観察されている有名な現象なのです。

 

ですから、これをするのが悪いということではなく、客観的にそういう人が今までにも多く存在していて、そういう激しい状態からでも回復していくことは可能だよってことを知って欲しいんですね。

 

 

「私は赤が好き」と子供が言ったなら

「あなたは赤が好きだと感じているんだね」と返してあげる。

 

これが「ミラーリング」の一例です。

 

そうやってミラーリングをしてもらえて、

「私は赤が好きだと感じていいんだ」 と安心できた時

「赤が好きな自分」を認めることができるようになります。

 

青が嫌いで赤が好きな自分がいたっていいんです。

 

本来自分の感情には良いも悪いもないんだと教えてあげるのがミラーリングなのです。

 

そのミラーリングが不足しているからこそ

子供は親に気に入ってもらえる感情を良い感情と勘違いするのです。

 

 

だからこそ、不安や怒りといったネガティブな感情を

「ネガティブな感情は悪い感情だから消さなければならない。そうしないと人から嫌われる。親から愛されなくなる」そんな風に思い込むようになるのです。

 

感情には良いも悪いもないとカウンセラーは言います。

それは紛れもなく人生の真実です。

 

そこに気づけた時に初めて人は自分の感情を抑圧したりコントロールしようとすることを止めます。

 

でもそれができるのは、

あなたが「赤が好きだ」と感じた時に

「あなたは赤が好きなんだね(あなたの感じ方を受け取ったよ。私は尊重しますよ)」

 

そういうミラーリングをたっぷりもらえた時でもあったりします。

 

人間は「ありのままの自己イメージ」が実感できない時

「ミラーリング」をしてくれる人を無意識のうちに求めて

一生さまよい続けるものです。

 

あなたがもしも、パートナーやお子さんに対して「ミラーリング」をするのが苦手だと感じている場合、あなた自身もミラーリングを十分にもらえていない可能性が高いです。

 

だから自分を決して責めないでください。

 

たぶん、

あなたに足りていないのは、

たっぷりと自分の感情を受け止めて

ミラーリングで映し返してくれる鏡のような存在なのです。

 

親という鏡を通して子どもは自己イメージと他者イメージを形作っていくのです。

 

それは「健全な発達課題」なのです。

 

感情には良いも悪いもありません。

 

 

南ユウタ

 

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