自分と仲直りする決心がありますか?~Aさんの軌跡~

前回の記事では、僕の元クライエントのAさんが

お母さんとの関係の悩みをどのように乗り越えていったのかについて

お伝えしますと予告しました。

 

 

Aさんの「アタマ」は気づいていませんでしたが、

「からだ」は反応していて、

明らかになにか言いたがっていました。

 

 

「からだ」に現れたのは、「もう一人のAさん」でした。

 

最近の脳科学では、

「からだ」と「アタマ」は、

別々の「意見」を持ち得ることが証明されています。

 

(詳しい情報が知りたい方は、ご連絡くださればいくらでも本はご紹介できますので、ご遠慮なくどうぞ!)

 

 

さて、カウンセリングルーム内にイスを二つ並べ、

一方の椅子に「アタマ」の声を話す「Aさん」が座り、

もう片方に「からだ」の声を話す「もう一人のAさん」が座りました。

 

 

その2人で交互に対話を重ねていきます。

 

 

この技法を「エンプティ・チェア(空の椅子)」と呼びましたね。

 

 

そして、Aさんは自分自身がお母さんへの「怒り」を

相当ため込んでしまっていたことに気づかれました。

 

 

その「怒り」を、じっくりと「感じてあげる」ことが大切です。

 

 

そして、それを「ことば」や「動作」にしてみるのです。

 

 

Aさんは、お母さんを押しのける動作や、

自分がずーっとため込んできた怒りの声をことばにしてみました。

 

 

すると・・・

 

 

「アタマ」の声を話すAさんは、

「お母さんだって、あなたのことを考えているんだよ・・・」と、

「怒り」を感じているもう一人のAさんを止めたくなったのです。

 

 

ここで、重要なことがあります。

 

まず、その場に「お母さん」はいません。

いないのに、庇いたくなるのです。

 

 

そして、Aさんも、もう一人のAさんも

どちらも「Aさん」です。

 

僕には、Aさんが2つの椅子を交互に移動している姿と、

それぞれの椅子に座ったAさんが全く正反対のことを話す姿が

見えているだけで、やっぱりそこには「Aさん」は1人です。

 

 

これが「自己嫌悪」の正体の一つです。

 

 

つまり、

「怒りを感じるもう一人のAさん」と

「感謝しなきゃ」という幼い頃から教えられてきたルールを

守ろうとするAさんとが、ご本人のなかで対立していたのです!

 

 

 

さて、この後のカウンセリングの展開は、

「Aさん」と「もう一人のAさん」とが

まるで長年ケンカしてきた友達同士が

じっくりと話し合うことで仲直りするのとよく似た感じで進んでいきました。

 

 

 

そして、あるとき、Aさんの口からこんな言葉がこぼれました。

 

「私も、自分のなかの弱さや傷ついた部分を、

ちょっとは認めてあげてもいいのかなって、思いました・・・。」

 

 

これが「自分が自分を受け入れる」こと・・・いわゆる「自己受容」の瞬間です。

 

 

僕は、嬉しくって涙が出たことを今でも覚えています。

 

 

自分が自分を嫌い、ケンカをする状態は、

ほんとうにしんどく、つらく、そして孤独なものです。

 

 

でも、どんな自分とも丁寧に向き合い、

受け入れていくことができるのは、「あなた」だけです。

 

 

誰かに受け入れられて、それが力になることもありますから、

そうしたことももちろん大切です。

 

 

でも、それを支えとバネにして、

イヤだった自分、大嫌いな自分も

まずはその存在を「認めてあげる」、

そしてじっくりと「言い分を聴いてあげる」ことを続けていく主役は「あなた」意外にいないのです。

 

 

あなたの「からだ」と神経で繋がっているのは、

「あなた」の「脳」以外にないからです。

 

 

そうすれば、必ずいつか「受け入れられる」日がやってくるのです。

 

 

その第一歩は、「受け入れていこう」と「決める」こと。

他の誰でもない「あなた」が「決心」することです。

 

 

「決心」とは「意志の力」ですよね。

脳でいえば「前頭前野」の力です。

理性や判断をする「大人のあなた」が宿る場所、それが「前頭前野」です。

 

その力を使って、

あなたも、「大嫌いな自分」を受け入れる決心を

してみませんか?